JCAP migrants’ network SYMPOSIUM, on “The realities of migration in East Asia”.

インフォメーション
東アジア7ヶ国からの移民労働者民間ネッワークの14人代表が来日に従って、東京で、「東アジアの移民移動の現状」についてシンポジウムが行われます。
とき: 2017年3月26日 (日) 午後3:00~5:00
場所: 岐部ホール (イグナチオ教会構内)404号室
Email: migrantdesk.jsctokyo@gmail.com

ご出席をお待ちしております。

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INFORMATION
A team of 14 delegates of a private network of 7 East Asian countries will gather in Tokyo and hold a SYMPOSIUM, on “the realities of migration in East Asia”
Date:   March 26, 2017 (Sunday), from 3:00-5:00PM
Place:  Kibe Hall 4th Floor (St. Ignatius Church by Yotsuya Station)
Room number 404
Email: migrantdesk.jsctokyo@gmail.com

Participation is free. All are welcome!

足立インターナショナル・アカデミー(AIA)NPO認証申請を提出

管区だより 2017年 1月 (萱場 基神父、SJ)aia-npo-statusボランティアと子どもたち(AIAの前で)、中村塾長(後列一番左)

足立インターナショナル・アカデミー(AIA)が東京都に提出していた、NPO(特定非営利活動法人)認証申請書類が1月5日に受理された。現在、東京都のホームページに提出した申請書類一式が開示され、都民に縦覧されている。また、都による一連の審査も進められており、3月いっぱいには東京都知事による認証がなされる見通しである。

AIAは、イエズス会日本管区の他に、幼きイエス会・聖心会・メルセス会が呼びかけ、小暮中間期生(当時)の奮闘により、2008年6月1日に任意のボランティア団体として設立された。以来、東京都足立区で、外国籍の移住者の日本語教育と子どもたちへの学習支援を行ってきた。代表を安藤神父、塾長を中村友太郎氏(上智大学名誉教授)が務めてきた。その他、運営委員として歴代の管区長補佐(梶山神父・作道神父・山岡神父)が関わってきた。また、子どもたちの学習支援に日本管区の神学生や日本語学生も携わってきている。

このようなAIAの社会的責任を明確にしながら、諸活動をよりいっそう充実したものとするために、2016年5月16日に「NPO設立準備委員会」を立ち上げ、「設立趣旨書」や「定款」などの申請書類を整備して、このたびの申請にこぎつけた。

スリランカへの一斉送還(2016 年 9 月 22 日)に対する抗議声明

安藤 勇 SJ、イエズス会社会司牧センタースタッフ

法務省入国管理局は、2016 年 9 月 22 日、スリランカ人 30 人をチャーター機で強制 送還しました。チャーター機による一斉送還は、2013 年 7 月 6 日(フィリピン人 75 人)、同年 12 月 8 日(タイ人 46 人)、2014 年 12 月 18 日(スリランカ人 26 人、ベト ナム人 6 人)、2015 年 11 月 25 日(バングラデシュ人 22 人)に続く5回目になります。 本一斉送還は、非正規滞在者であっても保障されるべき適正手続を無視するものであり、 私たちは、これに強く抗議します。

送還を忌避する外国人の強制送還について、私たちはこれまでにも様々な人権人道上 の問題を指摘してきました。過去の4回のチャーター機による一斉送還では、送還後の 被送還者に対する民間の支援団体や専門家による現地調査などからも、被送還者のなか に、日本にパートナーや配偶者や子など家族がいる人、20 年以上の長期にわたり日本 に定着している人、難民申請したものの不認定・棄却された庇護申請者など、様々な事 情を抱えて母国に帰ることができない人たちがいました。彼・彼女らは突然の強制送還 後、生活の基盤もなく支援もないままに送還先に放置されている実態も明らかになりま した。また、被送還者の選定基準の不透明さや送還プロセスにおける人権侵害について も問題を指摘してきました。しかしながら、日本政府はこうした私たちの問題指摘や抗 議にも誠実に答えることなく、5回目の送還が強行されました。

法務省の発表によると、今回のスリランカへの一斉送還では、送還を忌避していた 24 歳から 58 歳までの男女 30 人が送還され、その中には日本での長期滞在者(最長者 は滞在 27 年 9 ヶ月)も含まれているとのことです。

法務省はまた、今回送還された人の中に難民申請者は一人もいなかったとしています。 しかしながら、今回送還された人の中には日本において庇護を求めていた人も多くいま す。「難民申請者がいない」というのは、送還前(多くは送還の直前)に難民不認定処 分に対する異議申立てに対する棄却決定の告知を行うことにより、送還時点で難民認定 申請手続中の人はいなかったというに過ぎません。2014 年 12 月に実施されたスリラン カへの一斉送還に関する前川清成参議院議員による質問主意書への政府答弁からは、送 還された 32 人中 29 人に難民申請の経歴があり、そのうち 26 人が送還前日に異議却下 通知を受けたという事実が明らかにされています。

そして、送還された人たちの中には、行政の行った難民不認定処分が正しかったかを 裁判所で検証する機会を奪われたまま、送還された人が含まれています。すなわち、難 民の異議申立てに対する棄却決定に対しては、その告知から6ヶ月間、裁判所に訴え出 ることができ、異議棄却決定の際、難民申請者に対してもそのように説明されます。それにもかかわらず、法務省入国管理局は、実際には、この6か月を待つことなく、棄却 決定の告知からわずか 24 時間以内に送還するなどして、被送還者から難民不認定処分 取消訴訟を提起する機会を奪いました。これは憲法第 32 条で難民申請者にも保障され る「裁判を受ける権利」を剥奪するものであり、また、裁判所による最終判断が下され ていないにもかかわらず、難民である者もしくは帰国すれば拷問等受ける可能性のある 者を送還する点で、難民条約第 33 条及び拷問等禁止条約第3条の定める「ノンルフー ルマン原則」に反するものであり、憲法上、国際条約上到底許されるものではありませ ん。

くわえて、遠く庇護を求めてきた人に対し、裁判への道を遮断し、行政の一存で判断 の告知と同時に送還する行為は、自由や人権という価値を信奉し、立憲主義を採用する日本の地位を貶めるものであり、恥じるべきものであるといわざるを得ません。

また、日本人の配偶者、永住者の配偶者などの家族がいる人たちが、一斉送還の直前 に仮放免の更新が認められずに収容され、家族や代理人にも連絡がとれないまま送還さ れたとの情報が、被送還当事者やその家族から支援団体に直接寄せられており、送還の プロセスで抵抗しないよう手錠などが使われていたとの証言もあります。

私たちは、日本に暮らすすべての人びとの人権が等しく尊重される社会を求め、彼・ 彼女らの家族との結合や日本での定着性、保護の必要性などが十分に考慮され、合法化 が検討されることを強く望みます。

私たちは、チャーター機等による、適正手続きを保証しない強制送還が行われている ことに強く抗議するとともに、日本政府に対し、非正規滞在の外国人に対する施策を根 本的に見直すよう求めます。さらに、航空会社においては人権を尊重し、人権侵害に加 担しないという企業の社会的責任を果たすよう求めます。

2016 年 10 月6日

イエズス会社会司牧センター
特定非営利活動法人     移住者と連帯する全国ネットワーク
カリタスジャパン
全国難民弁護団連絡会議
特定非営利活動法人      名古屋難民支援室
難民・移住労働者問題キリスト教連絡会
認定 NPO 法人      難民支援協会
特定非営利活動法人      難民自立支援ネットワーク
日本カトリック難民移住移動者委員会
RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)

東アジアの移民労働者のためのイエズス会ネットワーク

安藤 勇 SJ、イエズス会社会司牧センタースタッフ
【社会司牧通信189号2016年6月15日】

   伊勢志摩で開催されたG7サミットの閉会式から数日後、マスメディアは現代の奴隷制についての衝撃的な報告を発表しました。それはギャラップ調査によって客観的に裏付けられた、グローバルな調査結果です。詳細なデータや、国と地域の報告に関する分析は、Webサイトの「Global Slavery」で読むことができます。調査の衝撃的な最終結果によれば、まさにこの2016年現在、世界の167か国で、約4580万人もの人々―その多くは女性と子ども―が、現代の奴隷制の何らかの犠牲者になっているというのです。中でも、アジア太平洋地域が特に深刻な影響を受けていると思われます。(ジャパン・タイムズは2016年5月31日に、「現代の奴隷制に日本は取り組んでいないと研究が非難」という記事で、この事実を明らかにしました。)

  日本が世界で41番目に悪い状況の国とされている現実を知れば、日本の多くの人々はきっと驚くでしょう。世界の奴隷制調査の「国別:人口における現代の奴隷の推定割合」という箇所では、日本は全人口1億2700万人のうちの29万人、およそ0.22%の人が現代の奴隷だと考えられています。

  移民デスクでの経験から私たちは、こうした現代の奴隷の大部分は、日本で働き、生活している外国人労働者であると考えています。もちろん、それが一般的傾向だとまでは言い過ぎでしょうが、同時に、それはごく稀な現実だとか、単なる反日のプロパガンダに過ぎない、という考えはナイーブでしょう。

  先日日本に集結したG7の首脳たちは、地球上で最も裕福で、最も影響力のある国の代表です。彼らは世界の経済システムの再構築について扱い、ヨーロッパにおける現在の移民危機についても触れました。けれども、現代の奴隷制と外国人移民労働者の危機的状況については、彼らの議題の中にありませんでした。

イエズス会の移民労働者ネットワーク
  イエズス会東アジア太平洋管区連盟(JCAP)がカバーしている東アジア地域には、二つの異なるタイプの国が共存していると考えられます。一方では、東アジアのいくつかの国は、自国の貧困の解消や緩和を期待して、外国に何十万人という労働者を送り出します。その一方で、東アジアの他の国々は、自国をより豊かに発展させるために、そうした労働者を喜んで受け入れています。古典的な国際表現を用いるのであれば、そこにははっきりとした「南北問題」が存在します。日本、韓国、台湾、そして香港(?)は、豊かな北半球の中心に位置しています。その他の東アジア諸国の人々は、仕事を得るために、あるいは貧困から逃れるために、自分たちの生活をよくするために、外国へと出稼ぎにいくのです。

  イエズス会は一般にどちらの国にも、数は多くありませんが、移民労働者と関わる小さな機関をもっています。韓国はその取り組みをまさに再編成したばかりで、新しいユウッサリ・センターが建てられ、3人のイエズス会員がそこで働いています。台湾では、レールム・ノヴァールム・センターを通して、外国人労働者との関わりについて、大きな成果をあげています。フィリピンでは、UGATという機関とイエズス会のいくつかの高等教育機関の様々なネットワークのもと、しっかりと組織されています。インドネシアでは、移民労働者との長い関わりを再編成中です。日本では、イエズス会社会司牧センターを拠点に、外国人労働者に寄り添い、必要な法律サービスや、子どもと親に対する基礎的な教育を提供しています。ベトナムでは、国内の移民労働者に同伴し、彼らが地方から都市部に働きに来る際に訓練を提供し始めました。イエズス会難民サービス(JRS)タイは、ミャンマーからの何十万人もの移民労働者をケアしてきた長い伝統があります。

JCAPの現在の変化

  非常に重要な変化と挑戦は、JCAPの長上たちが、優先課題についての長期的な計画(「ソーシャル・マッピング・レポート2009」)を受け入れ、発表したことによって生じました。東アジア太平洋地域における移民労働者とエコロジーが、イエズス会の主要な優先課題とみなされたのです。

  移民労働者の状況という観点から、過去に行われてきたどちらかといえば個々の努力は、JCAPのネットワークの中で、より調整されるようになりました。そのネットワークは、2011年5月15~17日にソウルで行われた、移民に関するイエズス会の初のワークショップによって活発になりました。それ以来、ワークショップは毎年のように開催され、2012年にはマニラ、2013年にはジャカルタ、2015年には台北で開かれました。
Seoul 2011
  最近では、2016年4月19日に、東アジアのイエズス会移民ネットワークの7か国から、13人の代表者がベトナムのホーチミンに集まりました。このネットワークのコーディネーターを務め、今回の会議を招集したのは、インドネシア人のベニー神父(Fr. Benedictus Hari Juliawan)です。会議の中では、共通のプログラムと、外国人労働者の現状に焦点を当てた3年間の研究プロジェクトについて話し合われました。研究プロジェクトの主要テーマは、外国人労働者の自国への帰還、もしくは彼らが暮らし働いていた社会への統合、そしてブローカーの闇の世界です。実際に、この最初の共同研究プロジェクトは、6月中に英語で出版される予定です。

HCMC 2016

  こうしたテーマに関する文献は、確かに数多く存在します。けれども、このネットワークが目指しているのは、移民労働者のために場を提供し、彼らの真のニーズに対するより良い対応を見つけることです。ネットワークの強みの一つは、外国人移民労働者を送り出す国の中で実に精力的に携わっている人だけでなく、受け入れている国の中で働いている人もいることです。例えば、韓国のユウッサリは、韓国に働きに来るカンボジアの若い女性たちのために活動しています。台湾では、台湾に家政婦として働きに来るインドネシアの若い女性たちのために活動しています。日本では、日本の小さな工場で働いているフィリピン人、ベトナム人、アフリカの人々のために活動しています。イエズス会は、外国人労働者と寄り添い、送り出し国と受け入れ国の二つの側で協力して活動しようとしています。

  言葉の壁は、日本や台湾、韓国に来る外国人労働者にとって、大きな障害になっています。言葉の知識が不足しているせいで、彼らの多くは入国した新しい社会から締め出されてしまいます。彼らは支援者や、真に信頼できる情報をもっていないからです。こうした事情は一般に、彼らの生活状況や職業選択を耐えがたいほど悪化させてしまいます。私たちの司牧活動や教会は、彼らに手を差しのべ、限られた方法ではありますが、小さくされた人々に対して、仲間として支援を提供することができます。国が外国人労働者を受け入れるのは、国の経済成長のために、安くて若い労働力を必要としているからです。けれどもベトナムやインドネシア、あるいははるか遠くナイジェリアなどから来た労働者は、自分たちの家族が貧困から抜け出し、よりよい暮らしと教育、自由な機会を得ることを求めています。私は50代のフィリピン人労働者と出会いました。彼は、ビザの期限が切れているため、フィリピンに強制送還されるのではないかと恐れていました。また、フィリピンに残した彼の家族が生活するために必要な週7000円のお金をこれ以上送ることができないということに、不安を抱えていました。けれども日本や台湾、韓国にとって興味があるのは、単に安くて若い労働力です。外国人労働者は、一時的に滞在することはできますが、やがて帰らなくてはならず、代わりに新しい人がやって来ます。「ギブ・アンド・テイク」、それがこのゲームの名前です。

  移民労働者とその家族の人間としての尊厳を認め、彼らの人権を尊重することは、私たちのネットワークを強化し、非キリスト教的環境の中でキリスト教的価値を証しするために、大きな力をもっています。活動領域と可能性は、無限大です。

教育格差を縮める取り組みを

カトリック新聞  2015年11月29日  第4316号

AIA teachers orientation Nov 2015学校教育を考える

「外国につながる子ども」たちの学校教育を考えるシリーズ。第39回は、4つの教育修道会が7年前に立ち上げた低費私塾「足立インターナショナル・アカデミー」(AIA)を紹介する。外国人労働者が多く暮らす東京都足立区で、日本語に不自由する子どもたちの学習支援や大人たちの日本語識字教育を行っている。11月7日には、関東地区カトリック小中高連盟「中高宗教部会」の教員らがAIAで第14回勉強会を行い、日本社会の教育の現状について考えた。

東武線梅島駅から徒歩10分、町工場などが立ち並ぶ住宅街で、AIAは民家の2階を借りて、毎週火曜日から土曜日まで(午前11時~午後7時)、日本語や主要教科の学習支援を行っている。
対象は、外国人移住労働者の子どもや、国際結婚で生まれた「ダブルの子ども」らなど、小学生から高校生まで、そして日本語の読み書きができない大人たち。AIAは予約制で、学生や社会人のボランティア講師に一対一で勉強を見てもらうことができる。しかも月謝は2千円で、何回でも学習できる。昨年度は、のべ1460人が利用している。
労働者のまち、足立区は人口の3%が外国人(外国人登録者)で、東京23区で2番目に外国籍住民の割合が多い。
小学校の設置数は都内最多の72校で、全校が区立。しかし、中学校は39校、高校は11校と少ない。教育の機会均等や進学保障という観点で見ると、教育環境は「良好」とは言い難いだろう。
そうした中で、2008年、教育事業を行っている4修道会(イエズス会、聖心会、幼きイエス会、ベリス・メルセス宣教修道女会)がAIAを立ち上げた。日本経済を〝底辺〟で支えている外国人労働者等の子どもたちの成長を支えると同時に、そこで関わるボランティア自身も共に成長する「共育」を目的としている。

AIA代表の安藤勇神父(イエズス会)は、「外国につながる子ども」たちの現状をこう話す。
「例えば20年以上日本に暮らして、日常会話ができるフィリピン人の大人でも、日本語の読み書きができないケースが多くあります。日本語の問題に加え、親が共働きや夜勤で、子どもの勉強を見てあげられないので、子どもは日本語が身に付かず、低学力になってしまうのです」
しかも公立学校は学齢主義を導入しているため、日本語の習熟度に関係なく、彼らは年齢相当の学年に編入させられる。AIAに通うエチオピア人の少年も来日したばかりで、困難に直面している。

その少年は、地元の公立中学校に編入し、年齢より1つ下の学年で勉強することになったが、英語が話せる教員は1人だけ。他の教員とは意思疎通が図れず、日本語の授業も全く分からず、毎日教室の中で一人ぼっちで座ったまま過ごす。安藤神父がAIAスタッフとして週3回中学校に足を運び、その少年の学習支援に携わるが、限られた時間で、年齢相当の基礎学力は見に付けられない。
しかし中学校側はこう言い放ったという。「勉強ができなくても大丈夫です。ちゃんと卒業させますから」。形式的に中学卒業資格が得られたとしても、現実問題として「低学力」は「低学歴」につながり、それは「職業選択肢の激減」の要因となる。結果的に「貧困の連鎖」が続いていくことになる。
そうした「負の連鎖」を断ち切ろうと、AIAは、低費で通える唯一の私塾として活動しているのである。子どもたちは「算数の不安がなくなった」「日本語ができるようになって、先生や友達と話す時は楽しくなった」と喜んでいる。しかし、交通費がないため、AIAにも通えない子どもたちがいるのだ。

教会にできる支援

11月7日、関東地区の「中高宗教部会」の勉強会で、宗教科や倫理科の教員20人ほどがAIAを見学、安藤神父とAIA塾長の中村友太郎・上智大学名誉教授から子どもたちの状況について学んだ。
初めて〝現場の人〟から話を聞いたという栄光学園(神奈川)倫理科の小野邦彦教諭は、こう語った。
「心に響くものがありました。AIAの子どもたちは、本校では出会えない子どもたちばかりです。本校の生徒たちは、将来、社会(システム)をつくる側の人間になっていきます。AIAの子どもやそこで働いている人たちに出会い、この問題を知った上で社会に出ていってほしいと思いました」
中高宗教部会は、年に3回勉強会を開き、宗教等の授業内容について学び合っている。今回は、カトリック学校でも行われているグローバル教育(地球規模的課題の理解と解決のための教育)について、「自分たちの足元から見つめ直してみよう」と、AIAを研修の場に選んだという。
担当者の一人、曉星中学・高等学校宗教科主任の松本洋教諭は、「ミッションスクールならではのグローバル化とは何なのか、宣教者が貧しい子どもたちを助けるためにカトリック学校を始めたその原点に目を向けたいと思いました」と語る。
AIAでは、稲刈りなど、課外活動も実施している。また高校進学をする際には、支度金として「奨学金」も支給している。
安藤神父は、各カトリック学校にできることとして、①AIAを〝姉妹校・兄弟校〟として位置づけ交流する②デカセギ労働者の子どもを1人以上引き受ける③日本語教室を開く④AIAの高校進学支度金を支援する――などを提案しつつ、こう強調した。
「カトリック教会は、貧しい人たちの教会と言いながら、こういう子どもたちの学校(教育)に興味を持たず、何もしないなら、それは罪だと思います」と安藤神父は語っていた。 AIAは、☎ 03-5888-5206

(次回は11月29日付掲載予定です)

難民、深刻な人権侵害

カトリック新聞  The Catholic Weekly (2015年9月13日)

安藤勇神父に聞く

ロヒンギャヘの迫害続く

国際イエズス会難民サービス(JRS)が、インドネシアを拠点に、世界で最も激しい迫害を受けていると言われる少数民族「ロヒンギャ」の生活支援を始めて8年。ミャンマー(旧ビルマ) では民族対立が激化し、多くのロヒンギャが難民となっている。他国の上陸許可を得られないまま、小舟で海上を漂っているロヒンギャの数は、今年4月末時点で約8千人に上る。

東南アジア諸国が直面するボートピープル(難民となり小舟で外国に逃げる人々)問題について、イエズス会社会司牧センター・移民デスクの安藤勇神父(イエズス会)に聞いた。

推定で130万人いると言われているムスリム(イスラム教徒)のロヒンギャは、バングラデシュの国境に近いミャンマーのラカイン洲に暮らすが、今年、仏教徒アラカンとの民族対立と暴動で、大勢が小舟で国外脱出を始めている。

イスラム教徒が多いマレーシアとインドネシアの政府は5 月20日、ロヒンギャの上陸を許可し、彼らのための一時避難所を設置する決定を下した。JRSインドネシアも、ただちにインドネシア・アチェに調査・対応チームを派遣、緊急支援活動を開始した。

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民族対立と暴動で、大勢が小舟で国外脱出

JRSは2007年から、インドネシアやタイ、マレーシアで、ロヒンギャ難民を支援している。13年にはJRSタイがカリタスタイと協働で、難民キャンプに暮らす約千人の生活支援や健康・衛生面での支援を行った。

過激派組織も狙う

ロヒンギャは、これまでバングラデシュとインドの紛争、英国植民地時代の迫害、また1970年代以降はビルマ軍事政権下での強制労働や暴行・財産没収などの迫害、さらに近年はミャンマーの仏教徒との対立などで、長年にわたって安住の地を持てなかった。

今年6月から激化したミャンマーでの民族暴動で、ロヒンギャ難民が他国に助けを求めているが、ミャンマー政府は彼らに国籍を与えていないため、他国でも、法的身分がないという理由で、強制送還や深刻な人権侵害に直面している。

安藤神父はその現状をこう話す。

インドネシアにある難民キャンペでの礼拝

インドネシアにある難民キャンペでの礼拝

「生活のために、ロヒンギャの中からブローカー(職業あっせん業者)が生まれています。ブローカーは、ミャンマーから脱出したいロヒンギャ難民、そして難民船の船員、受け入れ業者からお金を取っています。その結果、難民たち自身は、安全な国に逃れて仕事に就けると思ったら、予期せぬ奴隷労働に従事させられるという問題が生じています」また過激派組織「ISIS」(自称「イスラム国」)は、困窮するムスリムのロヒンギャ難民を″人材″として狙っているという。ロヒンギャは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)により難民と認められている。テロの火種がアジア諸国に広がることを防ぐためにも、アジア太平洋地域の諸外国は、具体的で持続可能な保護政策を打ち出す必要があると、安藤神父は考えている。

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JRSは、ロヒンギャのための募金キャンペーンを展開中。詳細は、☎ 03-5215-1844 (安藤神父)まで。

イエズス会社会司牧センター移民デスク
〒102-0083 東京都千代田区麹町6-5-1、岐部ホール4階
Jesuit Social Center Migrant Desk
Kibe Hall 4th Floor, Kojimachi 6-5-1, Tokyo 102-0083
Tel: 03-5215-1844 Fax: 03-5215-1845
Email: migrantdesk.jsctokyo@gmail.com

 -送金先
郵便振替口座
00140-4-94839
Rohingya  と書いてください。

カトリック教会は環境問題のニューカマーなのか?

―教皇フランシスコの新回勅『ラウダート・シ』に寄せて―
安藤 勇 SJ、イエズス会社会司牧センタースタッフ、移民デスク担当
【社会司牧通信184号2015年8月15日】

 1993年以来、数千人の科学者と世界各国の代表者は、地球温暖化について話し合うための会議を継続して行っています。今年もまた、第21回目となる、国際共通課題である気候変動とどのように戦うかの協議がなされます。大部分の科学者は、自然災害は主に人間の活動によって引き起こされると思っています。
ですから、6月18日に教皇フランシスコが環境問題に関する回勅『ラウダート・シ』を発表したことは、さほど驚くことではありません。
実際、教皇ヨハネ・パウロ2世は1990年の「世界平和の日」メッセージの中ですでに、「全人類の責任としての生態系の危機」を強調しました。創造への配慮は、「キリスト教信仰の本質的な部分」なのです。
バチカンにおいてエコロジーの議論が始まった明らかな転換点は、4800枚のソーラーパネルがバチカンの建物に設置された、2001年のことでした。そしてまた、2008年には、ハンガリーに「バチカン気候林」がつくられました。教皇ヨハネ・パウロ2世も教皇ベネディクト16世も、環境危機に対する強い声明を出し、人間が自然に対して独裁者のように振る舞うのではなく、創造された大自然に配慮する必要があると強調しました。エコロジーは教会の中で大きな風潮となっただけでなく、21世紀の社会的、政治的な最も大きな問題の一つになりました。

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しかしながら、教皇フランシスコは重要な変化をもたらしました。現在に至るまで、環境悪化は公文書の中で、主に二次的な問題でした。けれども回勅『ラウダート・シ』の発布によって教皇フランシスコは、創造への配慮を教会生活の中心に据えた、初の教皇となりました。この文書は、13世紀の聖人、アシジの聖フランシスコの著作からインスピレーションを得ており、回勅にも多く引用されています。教皇はまた、正教会のエコ神学や、世界の18の司教協議会の公式声明も参照しています。その中には、日本を含めたアジア諸国の司教協議会も含まれています。ヨハネ・パウロ2世とベネディクト16世もまた、新回勅にはしばしば引用されます。これは、環境問題に関する教会の教義の連続性を証明しています。
この回勅は、カトリック信者だけでなく、すべての善意ある人々へ宛てられています。それには、地球温暖化を抑える決定のできる政府や企業が含まれています。教皇の言葉は、人間の活動がどれほど環境問題(気候変動、森林伐採、大気汚染、生物多様性の喪失などを含む)を生み出しているかについての分析に基づいています。私たちの地球は、愛の神である創造主の業です。地球はすべての人のための共通の家であり、金持ちや権力者のためだけのものではありません。地球は大切にされなければなりません。
それに加えて、貧しい人々は特に、環境への無責任さの結果である自然災害の被害を受けやすいので、教皇フランシスコは貧しい人々の暮らしを優先する必要性を強調しています。それはすでに出された彼の使徒的勧告『福音の喜び』と同様です。

エコロジー危機の解決策を探すカトリック教会
たとえ、教会に地球温暖化についての明確な見解がないとしても、教会は気候変動についての対話を始めなければなりません。なぜなら私たちの共通の家である地球は、深刻な荒廃に陥っているからです。希望をもって、必ず出口が見出せます。つまり私たちの歩みを向き直し、問題解決のための何かを行うことができるということです。しかし、私たちは現在、事態が極限状態に達しているしるしを見ることができます。実際のデータも専門家の結論も、変化と悪化の急速なペースを示しています。現在の世界システムは、様々な点から見ても、間違いなく持続不可能です。なぜなら、私たちが人間の活動の目的について考えることを止めたからです。「人類は、神の期待を裏切りました」。
必要なことは、先見の明があり、危機の様々な側面を扱うための新しい、統合的な、学際的な取り組みのできる政治行動です。真の変化のための戦略は、プロセスを完全に再考することを要求します。健全な政治は、この挑戦に取り組めるようになる必要があります。政治と経済には、貧困と環境悪化についてお互いを非難し合う傾向があります。政治と経済が自らの過ちを認め、共通善に向けた相互関係の形を見出せることが望まれます。

環境教育
「エコロジー市民」を育てるには、エコロジー倫理を発展することのできる教育者、つまり連帯、責任、思いやりのある世話によって人々の成長を助けることのできる教育者が必要です。種々の法令が存在するだけでは、長い目で見れば、悪い行いを抑制するには不十分です。健全な徳を養うことによってのみ、人々は消費習慣とライフスタイルの変化に関して、エコロジーへの客観的な献身ができるようになるのです。

Bulletin 184 photo 2

創造と創造主について
私たちは、人間と自然の間の相互の責任関係を訂正しなければなりません。私たちは神ではありません。地は私たちよりも前から存在し、私たちのために与えられました。ユダヤ・キリスト教思想、つまり地に対する「支配権」を人に与えるという創世記の記述に基づき(創1:28参照)、本来制御できない破壊的なものとして人を描くことにより、人が自然を際限なく搾取することを支持できるとされてきました。ところがそれは、教会が理解しているような正しい聖書解釈ではありません。私たちキリスト者が時々誤って聖書を解釈したことは事実ですが、今日、私たちは神の似姿として創造され、地に対する支配権を与えられたことにより、他の創造に対する絶対的な支配が正当化されるという概念を、きっぱりと拒絶しなければなりません。

テクノロジー対人類の進歩
人々はもはや、幸せな未来を信じることができません。科学や技術の進歩を、人類や歴史の進歩と同一視することはできません。文化の大胆な革命を推し進める必要が膨らんでいます。科学も技術も、中立ではありません。私たちはスピードを落とし、現実を異なる方法から見る必要があります。
進歩の新しいモデルを生み出すために、「グローバル開発モデル」を変化させる必要があります。そしてそれは、経済の「意味」と目的について、責任ある考察を必要とするでしょう。中途半端な方法では、単に不可避の災害を遅らせるだけです。それは、進歩についての私たちの概念を再定義する問題です。よりよい世界を残さない技術や経済の発展を、進歩とみなすことはできません。

私たちの現在のライフスタイルの反省
ライフスタイルの変化は、政治的、経済的、社会的権力をふるう人々に対して、大きな圧力を与えることができました。消費者運動が特定の商品をボイコットすることで、それを達成できます。彼らは、企業のやり方を変化させ、環境足跡と商品パターンを強制的に考慮するように成功しました。社会的圧力が企業収益に影響を及ぼすとき、企業は異なる生産方法をきちんと見つけなければなりません。このことは、消費者の社会的責任感がかなり必要であると示してくれます。
企業利益や消費主義サービスへの人為的介入は、しばしば私たちの地を豊かで美しいものとはせずに、むしろ乏しく灰色なものにしていきます。

自然と人間の堕落
人間の堕落の原因。人間環境と自然環境は、ともに悪化していきます。これは、最も傷つきやすい人々に影響を及ぼします。不平等は、個人だけでなく、国全体にも影響を及ぼします。国際関係の倫理が考慮されなければなりません。真の「エコロジー負債」が、地球の南北間に存在しています。それは環境に影響する商業的不均衡や、特定の国による長年にわたる自然資源の不相応な使用に関係しています。貧困国の対外債務は、その国をコントロールする手段となりました。けれどもなお、エコロジー負債に関するところでは、そうではありません。生物圏の最も重要な保護地のある発展途上国は、様々な方法で、自らの現在と将来を犠牲にして、豊かな国の発展のために資源を提供し続けているのです。

エコロジー回心
エコロジー危機は、深い内的回心を呼び起こします。実用主義を口実に、一部の熱心なキリスト者は、環境問題を嘲笑する傾向があります。他の人々は消極的で、習慣を変えないことを選びます。「エコロジー回心」が必要です。アシジの聖フランシスコを想い出して、私たちは創造との健全な関係が、個人の全体的な回心の一面であると理解します。そしてそれは、私たちの過ちと失敗の認識を引き起こし、心からの悔い改めと、変化への望みへと導きます。

普遍的共同計画
相互依存関係は私たちに「共同計画を伴った一つの世界」について考えさせます。それでも、技術のすさまじい進歩をもたらした創意工夫は、世界規模の重大な環境・社会問題に効果的に取り組む方法を見つけることはできませんでした。グローバルな一致が、深い問題に向き合うためには欠かせません。個々の国の単独の活動では、解決することができないのです。このような一致は、例えば、持続可能で多角的な農業計画、再生可能で汚染の少ないエネルギーの開発、エネルギーのより効果的な使用の推奨、海洋・森林資源のよりよい管理の促進、そして皆がアクセス可能な飲み水の確保などです。
私たちは、空気を大いに汚染する化石燃料(特に石炭や石油、ある程度にガス)に基づいた技術が、速やかに、次第に取って代わられる必要があることを知っています。政府も企業も、私たちの世界が直面している緊急の課題にきちんと反応するのが遅すぎました。工業化後の時代は歴史上、最も無責任な時代の一つとして記憶されていますが、それでもなお、21世紀初頭の人類がその重大な責任を寛大に担うために思い出されるべき、希望の根拠が存在します。世界中で、市民社会の多くの組織の努力のおかげで、エコロジー運動が目覚ましい進展を遂げました。

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結論:日本の私たちに何を教えるのか
これはまた、政府と大企業の間の密接な協力関係を優先する日本にとって、主要な政治・経済方針に挑むメッセージです。技術はますます、戦争や大規模軍事防衛システム構築のために用いられます。国の工業化を確保するための原子力エネルギー使用への依存は、強く残ったままです。このように、環境の安全と人口の貧困層は、深い影響を受けるのです。
消費は景気回復の鍵として歓迎され、お金は惜しげもなくばらまかれます。市場経済の勢力は、社会悪を解決するための最良のモデルだと考えられています。このように、現在の開発モデルはほとんど完全に、経済利益重視の観点に基づいているのです。
教皇フランシスコは、環境の重大な問題に対する意見を発表し、私たちは決して「神」ではないと強調しました。私たちは自然と同じように、神によって創造されたのです。神は私たちに、自然の賜物を与えました。それは自然を世話するためであって、私たちが好き勝手に搾取するためではありません。自然資源はすべての人のためのものであって、一握りの金持ちや特別な技術力をもった人だけのものではありません。地球は私たちの共通の家であり、そこには何百万人もの貧しい人々が、希望をもてずに暮らしています。共通善と非営利は、すべての人間の経済活動の目的でなければなりません。けれども、そうした道徳的、倫理的な価値観はどれも、私たちの国の公的な政治・経済計画には存在していません。
しかしながら、『ラウダート・シ』のメッセージは、私たちの地球を救う緊急の必要性がある普遍的な環境の危機に、深い関心を寄せています。例えば、地球規模の飢えや貧困、人口の貧困層に対するケアといった問題です。これらは、一般的な日本人の多くも、重要課題だと同意するものでしょう。人々はしばしば、日本の技術製品を享受しますが、それによってより幸せになっているでしょうか?
教皇は私たちキリスト者に、エコロジー回心を求めています。それによって、消費に「NO」と言うために、私たちのライフスタイルを真に大変革していくことができます。キリスト教信仰による道徳観に基づく正確な理解と確かな分析を求める、効果的な認識が必要です。