ベトナム人実習生の問題がテーマ

インターネット番組「レイバーネットTV」の 録画がYouTubeで公開されています。
ベトナム人実習生の問題がテーマで、全統一の佐々木さんも出演されています。

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アジア諸国における移民労働者の経験の分かち合い

安藤 勇 SJ, イエズス会社会司牧センタースタッフ
【社会司牧通信201号2018年6月30日】

2018年4月17~21日、東アジアの9つの国および地域からイエズス会のグループの代表たちがマニラに集まりました。東アジアの移民労働者に関するプログラムを見直し、準備をするためです。イエズス会アジア太平洋協議会(JCAP)は2010年に、社会活動に関する共通の優先課題として移民問題を選びました。私たちはその結果この地域で構築されたイエズス会のネットワークに属しています。このネットワークは2014年の6月に始まりましたが、現地機関のいくつかはすでに何年も前から自国内で活動してきています。

この数年間で、年一回の会議のほか、SkypeやGoogleドライブ、メーリングリストなどを活用することによって、コミュニケーションや統治機構が構築されてきました。現実問題として私たちの機関のほとんどは小規模で、資源も極めて限られているにもかかわらず、移民労働者に関する共通の関心が豊かな協力関係の中心になっています。ネットワークでは過去3年にわたって、移民の残された子どもたち、再定住、ブローカー制度に関する共同研究の成果を英語のブックレットにまとめました。

今回の年次会議では、ネットワークに加盟する各機関からの通常報告のほかに、教皇庁人間開発のための部署(2017年1月創設)からの創造的なインプットもありました。また、海外に離散しているフィリピン人たちをエンパワーメントするリーダーシップ・トレーニング・アテネオ・プログラムや、ストレスに向き合うためのセッションもありました。

この移民ネットワークの目的は、脆弱な移民労働者の人権を促進し、守り、移民と移住の構造的原因に立ち向かい、社会変革を促進するために社会的意識を高めることです。

しかし、他の機関や社会グループと協力しながら意識啓発活動を行うだけでなく、移民を送り出す国と受け入れる国の両方でよりよい保護をめざすためには、アドボカシー計画がなおさら不可欠です。東アジアの特徴は、私たちは移民の送り出し国と受け入れ国の交差地域にいるのだという事実です。

マラウィ : 全ムスリム共同体の強制移住を目撃

2017年5月、ミンダナオのイスラム大都市であるマラウィで、激しい戦闘が勃発しました。昨年10月に戦闘が終結した後も、軍隊の包囲が続いていました。5か月間の戦闘で、多くの人々が殺されました。中央モスクやカトリックのカテドラルを含む建物も破壊されました。何千人もの市民が、何も持たずに自宅から退避しました。

私たちのプログラムには、その地域周辺のムスリム避難所への訪問が組み込まれていました。軍による包囲が解かれてから半年が過ぎていましたが、軍による統制は全面的に広がっていました。戒厳令も布かれていました。

私たちは皆、厳しい「マラウィ訪問ガイド」を受けました。リーダーと車両が当てられ、それに乗った参加者の公式訪問のみが許可されました。その他のいかなる車両も侵入できませんでした。ルートは厳格に定められており、携帯電話、カメラ、タブレットなどの機器は大幅に制限されていました。人々と会う際には、宗教的・文化的にも配慮が求められました。

私たちは、900人以上の人々のためにテントが建てられた一つの避難所に、一時間以上滞在しました。全員がムスリムで、私たちをとても温かく出迎えてくれました。彼らはすべてを失ってしまいました。テントの中には、食糧や水さえも、何もありませんでした。子どもたちは数名のボランティアと共に、周囲で遊んでいました。

リーダーたちが私たちを、人々が集会や祈りのために集まるスペースに招いてくれました。そして入れ代わり立ち代わり、150人以上の人々が私たちに会いに来て、彼らの現状について話してくれました。彼らの話を聴きながら、私は自ずと東日本大震災と福島原発事故のことについて考えていました。なので、私は日本でも強制移住に苦しんでいる人々がいるのだと伝えました。「あなた方は一人ではない」と言いました。他者との連帯を築くことによって、彼らはいくらか励まされたようでした。

実際、彼らの状況は希望を超えているように思えました。

生きた連帯のしるし

私たちは、多くの公的機関および民間の部門が、避難したすべてのムスリム共同体を支援するために非常に大きな貢献をしたということを学びました。それらは必要な食料や衣料、そしてテントを建てるための土地を提供しています。カガヤン・デ・オロ・ザビエル大学の主導で、避難先のムスリムたちに援助物資を分配するために、大学のキャンパスを使って物資の調整をしているということに特に感銘を受けました。大学の農学部はSEARSOLINという機関を通じて避難所周辺での畑づくりを促進し、そこに住む人々に必要な野菜を栽培しています。避難所で暮らす人々が自分たちでも農業を行えるように、種を提供するだけでなく、若いボランティアグループも派遣しています。

ザビエル大学はまた、避難したムスリム家族のために、アンガット・ブハイ再定住村に24平米の家を60戸建てるプロジェクトも実施しています。私たちは滞在中、建てられたばかりの最初の家を訪れました。この「社会司牧通信」が届くころには、60家族がそこに入居することができます。イエズス会のザビエル大学のモットーは、「私たちは単に家を建てるのでない。共同体を築くのだ」というものです。

東アジアの移民の出版物

イエズス会社会司牧センター(移民デスク担当) 安藤勇SJ
【社会司牧通信195号2017年6月15日】

東アジア地域では、若い人たちの移動が盛んになっている。彼ら/彼女らは仕事を求め、自由な国を探している。貧困から逃れて、自分の将来を含め、家族や子どもたちの教育を心配しながら、どんな苦労に遭っても日本、韓国、台湾などへ出稼ぎに来ている。彼らは普段「移民」と呼ばれている。

この「アジア移住」、すなわち、 東アジアの「MIGRATION」の現像を取り扱う
“Left-Behind Children and the Idea of the Family”(原文英語、2016年、116頁。
頒布価格500円)という本が昨年末に出版された。


東アジア諸国に拠点を持つイエズス会系の移民ネットワークは、以前からアジア
移住問題に関心を持ち、移民労働者と関わりながらその状況についての研究も
続けている。2014年からイエズス会は、この新しい移民ネットワークを結成した。
現在そのネットワークに、日本も含む7か国が加盟している。

昨年、ネットワークのメンバーの経験をもとに、5か国の研究者が自国の移民
たちの現状を取り上げ、本を英語で出版した。この出版物は外国へ出稼ぎに
出掛けた両親の生活状況よりは、あとに自国に残された家族や子どもたちの
目で、新鮮な立場から出稼ぎ労働者の状況等を取り上げている。

本のすべての報告は英語。しかし、少しでも日本の読者が理解できるように日本語の付録(25頁)を作り、様々な教育の場でも使いやすくできている。関心のある方は、当センターまでご連絡ください。

移民のために働くイエズス会のこれから

ベニー ハリー ジュリアワンSJ (JCAP移民ネットワークコーディネーター)
【社会司牧通信195号2017年6月15日】

第36総会以降、イエズス会の中で「識別」という言葉が大流行しています。アルトゥーロ・ソーサ総長は、イエズス会における識別の過程と使徒的計画を審査するための特別顧問を任命しました。イエズス会東アジア・太平洋地域(JCAP)の移民ネットワークとしては、これまでの歩みを見直し、新たな進路を描くために、今年で第4回目となる年次会議を2017年3月23~26日に東京で行いましたが、それはふさわしいことでした。未来のための新しい計画が求められていたのです。


最も重要な議題は、過去3年間の光と影を考慮に入れたうえで、今後5年間の計画を立てることでした。いつになく寒い春でしたが、8つの移民機関から集まった14名の参加者の活気と議論が、イエズス会社会司牧センターを温めました。3人の神学生と、東京移民デスクの若いインターンも加わってくれました。

学習のためのハイライトと教訓

このネットワークは、2014年に、5か国の5つの独自の機関が、イエズス会のアイデンティティを共有していることから始まりました。したがって、最初のステップは、コミュニケーションと統治構造を確立することによって、より緊密な協力体制を築くことでした。メンバーはSkypeやGoogleドライブ、グループメールなどの最新技術をいち早く習得しました。数年間にわたって定期的にSkype会議を行い、年次会議も設けられました。そうした中で、2つの機関が新たに加わりました。

残っている主要な課題は、加盟機関が一般的に、能力としても資源としても非常に限られた小規模なものであるという事実です。特に人材に関しては、イエズス会からの貢献は、ほとんど変わっていません。けれども、韓国のユウッサリは例外です。この働きを重視する韓国管区の決定にしたがって、最近、金浦の2階建ての新しい建物に引っ越しました。この使命に伴い、新しいイエズス会共同体もまた、その近くに設立されました。

それぞれの違いにもかかわらず、移民労働者に関する共通の関心は、協働の中心的部分になりました。同伴と直接サービスの提供は、送り出し国でも受け入れ国でも、移民労働者のニーズに応える中核となりました。参加者は、研究を行う能力を築く必要性と、残された移民の子ども、再定住、ならびに仲介事業の問題について共同プロジェクトを組織する必要性を認識しました。これらの研究プロジェクトは、新しいスキルを教えるだけでなく、加盟機関の中に新たな熱意を生じさせ、彼らが自国の学者や政策立案者たちに働きかけるのを助けました。

ネットワークはまた、4年間にわたり、社会使徒職の枠を超えて移民に関する問題を促進することに努めました。非常に成功した戦略の一つは、JCAPが毎月発行しているニュースレターに記事を載せたことです。これらの記事のおかげで、多くの人々――イエズス会員ではない人も含めて――が、移民労働者に対するイエズス会の取り組みについて知るようになりました。さらに、神学生とブラザーの集まりが2016年にソウルであったとき、移民への関心がテーマとして取り上げられました。イエズス会大学連盟も、移民の現象にもっと注意を払うと約束してくれました。

次の5年間

今後数年間、ネットワークは「拡大」と「アドボカシー」という2つの領域に焦点を絞ります。

ネットワークは移民に焦点を当てた他の機関や地域のネットワークと協働する必要があります。それらのいくつかからはすでに、連携を求められています。司教協議会や教会の移民機関はとりわけ関連しています。香港、タイ、マレーシア、シンガポールなどの国では、イエズス会は移民センターをもっていません。けれども司教協議会や他の修道院が最前線で、移民の権利を推進し、人身取引と闘っています。

イエズス会難民サービス(JRS)との緊密な協働もまた、長期にわたっています。JRSアジア太平洋地区ディレクターのバンバン・シパユン神父は、教会の社会教説によって規定されている「事実上の難民」への派遣に、JRSも同じ関心を促進できるよう活用したいと強く願っています。この表現は、国際条約によっては通常は難民に分類されない、武力紛争、自然災害、経済失策の犠牲者のことを指しています。

この点に関して、JCAPはおそらく、別の地域からインスピレーションを得ることができるでしょう。ラテンアメリカとカリブ海地域のイエズス会移民ネットワーク(RJM-LAC)は、この地域の約83の機関を傘下に収めるグループです。2002年にいくつかの機関の緩やかな連携として始まり、その後様々な変化を繰り返しながら、2011年にRJM-LACとなりました。18か国から、JRS、社会センター、小教区、イエズス会の大学や学校などが集まっています。その中心課題は、中南米の様々な地域から北米に向かっている移民や難民と協力することです。この協働は、様々な種類の移民の間を厳密に区別することが必ずしも役に立たない、混ざり合った移民の流れがあるという現実を認識しています。

プログラムの面でも、アドボカシーに特別な注意を払う必要があります。移民労働者は使い捨て可能な労働力として、彼らの権利や尊厳はほとんど考慮されずに、必要な時にだけ雇われることは明らかです。2020年の東京オリンピックはまさにその典型です。日本政府は、より多くの外国人建設労働者が来るように法律を緩和していますが、社会的重大性に対処する用意ができていないか、対処する気がないようです。それに加えて、人権団体からは奴隷制に等しいと非難されている外国人技能実習制度もあります。

東南アジアに目を向けると、2015年にASEAN経済共同体が発足してもなお、家事労働や農園、建設業に数百万人の外国人労働者がいるということを認めるそぶりすらありません。加盟国は、2007年のASEAN宣言に伴い多くの部門から繰り返し呼びかけられたにもかかわらず、移民労働者とその家族を保護する手段に同意することができませんでした。その代わり、地域のグループは8つの部門に、いわゆるホワイトカラーの専門家に関する規定を設置しました。ネットワークは、各地で移民の権利のためのキャンペーンを開始し、経済的価値にのみ焦点を当てることなく、彼らの尊厳を促進するのに適しています。

一方、国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」は、政策変更を提唱するためのプラットフォームを提供しています。多国間のイニシアティブとして、国家間の対話のための国際的に認識できる話し方を提供しています。イニシアティブに掲げられている17の目標の多くは、移民労働者やその他の脆弱な移民に関するもので、出身国や在留資格にかかわらず、基本的サービスを含む社会的保護への権利を保障しています。経済成長に憑りつかれている中で、JCAP移民ネットワークを含む市民団体は、単なる経済開発だけでなく、人間中心の開発を強調すべきでしょう。

この計画は、アジア太平洋地域のイエズス会による、真剣な取り組みを必要とするでしょう。JCAPは、ネットワークの基盤を築くためのリソースを惜しみなく提供してきましたが、この計画を実現するためにはより多くのことを行わなければならず、より多くのリソースが必要となります。例えば、東京で行った今年の年次会議は、イエズス会日本管区の支援なしには実現できなかったでしょう。イエズス会にとって、このような寛大さは珍しいことではありませんが、現在の取り組みがより大きくなったときには、より一層歓迎されるでしょう。

シンポジウム

東京での会議は、ネットワークによる初の共同出版を記念したシンポジウムによって終了しました。『残された子どもたちと家族の概念』という本は、移民労働者の子どもたちの運命について、5か国でなされた研究の成果です。

その後、アジア太平洋地域における挑戦についての議論が続きました。主な挑戦は、現実には国境を越えた現象にどのように対処するかですが、私たちの働きの多くは現場で、あるいは性質によってもせいぜい全国のレベルです。ネットワークを構築することは、この限界を克服するための戦略です。それでもなお、能力と深い貢献を改善していく必要があります。東京での識別と計画は、今後数年間の新しい方向性を示すのにとても役立ちました。

JCAP migrants’ network SYMPOSIUM, on “The realities of migration in East Asia”.

インフォメーション
東アジア7ヶ国からの移民労働者民間ネッワークの14人代表が来日に従って、東京で、「東アジアの移民移動の現状」についてシンポジウムが行われます。
とき: 2017年3月26日 (日) 午後3:00~5:00
場所: 岐部ホール (イグナチオ教会構内)404号室
Email: migrantdesk.jsctokyo@gmail.com

ご出席をお待ちしております。

2017-03-poster-for-jcap-migrants-network-meeting

INFORMATION
A team of 14 delegates of a private network of 7 East Asian countries will gather in Tokyo and hold a SYMPOSIUM, on “the realities of migration in East Asia”
Date:   March 26, 2017 (Sunday), from 3:00-5:00PM
Place:  Kibe Hall 4th Floor (St. Ignatius Church by Yotsuya Station)
Room number 404
Email: migrantdesk.jsctokyo@gmail.com

Participation is free. All are welcome!

足立インターナショナル・アカデミー(AIA)NPO認証申請を提出

管区だより 2017年 1月 (萱場 基神父、SJ)aia-npo-statusボランティアと子どもたち(AIAの前で)、中村塾長(後列一番左)

足立インターナショナル・アカデミー(AIA)が東京都に提出していた、NPO(特定非営利活動法人)認証申請書類が1月5日に受理された。現在、東京都のホームページに提出した申請書類一式が開示され、都民に縦覧されている。また、都による一連の審査も進められており、3月いっぱいには東京都知事による認証がなされる見通しである。

AIAは、イエズス会日本管区の他に、幼きイエス会・聖心会・メルセス会が呼びかけ、小暮中間期生(当時)の奮闘により、2008年6月1日に任意のボランティア団体として設立された。以来、東京都足立区で、外国籍の移住者の日本語教育と子どもたちへの学習支援を行ってきた。代表を安藤神父、塾長を中村友太郎氏(上智大学名誉教授)が務めてきた。その他、運営委員として歴代の管区長補佐(梶山神父・作道神父・山岡神父)が関わってきた。また、子どもたちの学習支援に日本管区の神学生や日本語学生も携わってきている。

このようなAIAの社会的責任を明確にしながら、諸活動をよりいっそう充実したものとするために、2016年5月16日に「NPO設立準備委員会」を立ち上げ、「設立趣旨書」や「定款」などの申請書類を整備して、このたびの申請にこぎつけた。

スリランカへの一斉送還(2016 年 9 月 22 日)に対する抗議声明

安藤 勇 SJ、イエズス会社会司牧センタースタッフ

法務省入国管理局は、2016 年 9 月 22 日、スリランカ人 30 人をチャーター機で強制 送還しました。チャーター機による一斉送還は、2013 年 7 月 6 日(フィリピン人 75 人)、同年 12 月 8 日(タイ人 46 人)、2014 年 12 月 18 日(スリランカ人 26 人、ベト ナム人 6 人)、2015 年 11 月 25 日(バングラデシュ人 22 人)に続く5回目になります。 本一斉送還は、非正規滞在者であっても保障されるべき適正手続を無視するものであり、 私たちは、これに強く抗議します。

送還を忌避する外国人の強制送還について、私たちはこれまでにも様々な人権人道上 の問題を指摘してきました。過去の4回のチャーター機による一斉送還では、送還後の 被送還者に対する民間の支援団体や専門家による現地調査などからも、被送還者のなか に、日本にパートナーや配偶者や子など家族がいる人、20 年以上の長期にわたり日本 に定着している人、難民申請したものの不認定・棄却された庇護申請者など、様々な事 情を抱えて母国に帰ることができない人たちがいました。彼・彼女らは突然の強制送還 後、生活の基盤もなく支援もないままに送還先に放置されている実態も明らかになりま した。また、被送還者の選定基準の不透明さや送還プロセスにおける人権侵害について も問題を指摘してきました。しかしながら、日本政府はこうした私たちの問題指摘や抗 議にも誠実に答えることなく、5回目の送還が強行されました。

法務省の発表によると、今回のスリランカへの一斉送還では、送還を忌避していた 24 歳から 58 歳までの男女 30 人が送還され、その中には日本での長期滞在者(最長者 は滞在 27 年 9 ヶ月)も含まれているとのことです。

法務省はまた、今回送還された人の中に難民申請者は一人もいなかったとしています。 しかしながら、今回送還された人の中には日本において庇護を求めていた人も多くいま す。「難民申請者がいない」というのは、送還前(多くは送還の直前)に難民不認定処 分に対する異議申立てに対する棄却決定の告知を行うことにより、送還時点で難民認定 申請手続中の人はいなかったというに過ぎません。2014 年 12 月に実施されたスリラン カへの一斉送還に関する前川清成参議院議員による質問主意書への政府答弁からは、送 還された 32 人中 29 人に難民申請の経歴があり、そのうち 26 人が送還前日に異議却下 通知を受けたという事実が明らかにされています。

そして、送還された人たちの中には、行政の行った難民不認定処分が正しかったかを 裁判所で検証する機会を奪われたまま、送還された人が含まれています。すなわち、難 民の異議申立てに対する棄却決定に対しては、その告知から6ヶ月間、裁判所に訴え出 ることができ、異議棄却決定の際、難民申請者に対してもそのように説明されます。それにもかかわらず、法務省入国管理局は、実際には、この6か月を待つことなく、棄却 決定の告知からわずか 24 時間以内に送還するなどして、被送還者から難民不認定処分 取消訴訟を提起する機会を奪いました。これは憲法第 32 条で難民申請者にも保障され る「裁判を受ける権利」を剥奪するものであり、また、裁判所による最終判断が下され ていないにもかかわらず、難民である者もしくは帰国すれば拷問等受ける可能性のある 者を送還する点で、難民条約第 33 条及び拷問等禁止条約第3条の定める「ノンルフー ルマン原則」に反するものであり、憲法上、国際条約上到底許されるものではありませ ん。

くわえて、遠く庇護を求めてきた人に対し、裁判への道を遮断し、行政の一存で判断 の告知と同時に送還する行為は、自由や人権という価値を信奉し、立憲主義を採用する日本の地位を貶めるものであり、恥じるべきものであるといわざるを得ません。

また、日本人の配偶者、永住者の配偶者などの家族がいる人たちが、一斉送還の直前 に仮放免の更新が認められずに収容され、家族や代理人にも連絡がとれないまま送還さ れたとの情報が、被送還当事者やその家族から支援団体に直接寄せられており、送還の プロセスで抵抗しないよう手錠などが使われていたとの証言もあります。

私たちは、日本に暮らすすべての人びとの人権が等しく尊重される社会を求め、彼・ 彼女らの家族との結合や日本での定着性、保護の必要性などが十分に考慮され、合法化 が検討されることを強く望みます。

私たちは、チャーター機等による、適正手続きを保証しない強制送還が行われている ことに強く抗議するとともに、日本政府に対し、非正規滞在の外国人に対する施策を根 本的に見直すよう求めます。さらに、航空会社においては人権を尊重し、人権侵害に加 担しないという企業の社会的責任を果たすよう求めます。

2016 年 10 月6日

イエズス会社会司牧センター
特定非営利活動法人     移住者と連帯する全国ネットワーク
カリタスジャパン
全国難民弁護団連絡会議
特定非営利活動法人      名古屋難民支援室
難民・移住労働者問題キリスト教連絡会
認定 NPO 法人      難民支援協会
特定非営利活動法人      難民自立支援ネットワーク
日本カトリック難民移住移動者委員会
RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)