移民のために働くイエズス会のこれから

ベニー ハリー ジュリアワンSJ (JCAP移民ネットワークコーディネーター)
【社会司牧通信195号2017年6月15日】

第36総会以降、イエズス会の中で「識別」という言葉が大流行しています。アルトゥーロ・ソーサ総長は、イエズス会における識別の過程と使徒的計画を審査するための特別顧問を任命しました。イエズス会東アジア・太平洋地域(JCAP)の移民ネットワークとしては、これまでの歩みを見直し、新たな進路を描くために、今年で第4回目となる年次会議を2017年3月23~26日に東京で行いましたが、それはふさわしいことでした。未来のための新しい計画が求められていたのです。


最も重要な議題は、過去3年間の光と影を考慮に入れたうえで、今後5年間の計画を立てることでした。いつになく寒い春でしたが、8つの移民機関から集まった14名の参加者の活気と議論が、イエズス会社会司牧センターを温めました。3人の神学生と、東京移民デスクの若いインターンも加わってくれました。

学習のためのハイライトと教訓

このネットワークは、2014年に、5か国の5つの独自の機関が、イエズス会のアイデンティティを共有していることから始まりました。したがって、最初のステップは、コミュニケーションと統治構造を確立することによって、より緊密な協力体制を築くことでした。メンバーはSkypeやGoogleドライブ、グループメールなどの最新技術をいち早く習得しました。数年間にわたって定期的にSkype会議を行い、年次会議も設けられました。そうした中で、2つの機関が新たに加わりました。

残っている主要な課題は、加盟機関が一般的に、能力としても資源としても非常に限られた小規模なものであるという事実です。特に人材に関しては、イエズス会からの貢献は、ほとんど変わっていません。けれども、韓国のユウッサリは例外です。この働きを重視する韓国管区の決定にしたがって、最近、金浦の2階建ての新しい建物に引っ越しました。この使命に伴い、新しいイエズス会共同体もまた、その近くに設立されました。

それぞれの違いにもかかわらず、移民労働者に関する共通の関心は、協働の中心的部分になりました。同伴と直接サービスの提供は、送り出し国でも受け入れ国でも、移民労働者のニーズに応える中核となりました。参加者は、研究を行う能力を築く必要性と、残された移民の子ども、再定住、ならびに仲介事業の問題について共同プロジェクトを組織する必要性を認識しました。これらの研究プロジェクトは、新しいスキルを教えるだけでなく、加盟機関の中に新たな熱意を生じさせ、彼らが自国の学者や政策立案者たちに働きかけるのを助けました。

ネットワークはまた、4年間にわたり、社会使徒職の枠を超えて移民に関する問題を促進することに努めました。非常に成功した戦略の一つは、JCAPが毎月発行しているニュースレターに記事を載せたことです。これらの記事のおかげで、多くの人々――イエズス会員ではない人も含めて――が、移民労働者に対するイエズス会の取り組みについて知るようになりました。さらに、神学生とブラザーの集まりが2016年にソウルであったとき、移民への関心がテーマとして取り上げられました。イエズス会大学連盟も、移民の現象にもっと注意を払うと約束してくれました。

次の5年間

今後数年間、ネットワークは「拡大」と「アドボカシー」という2つの領域に焦点を絞ります。

ネットワークは移民に焦点を当てた他の機関や地域のネットワークと協働する必要があります。それらのいくつかからはすでに、連携を求められています。司教協議会や教会の移民機関はとりわけ関連しています。香港、タイ、マレーシア、シンガポールなどの国では、イエズス会は移民センターをもっていません。けれども司教協議会や他の修道院が最前線で、移民の権利を推進し、人身取引と闘っています。

イエズス会難民サービス(JRS)との緊密な協働もまた、長期にわたっています。JRSアジア太平洋地区ディレクターのバンバン・シパユン神父は、教会の社会教説によって規定されている「事実上の難民」への派遣に、JRSも同じ関心を促進できるよう活用したいと強く願っています。この表現は、国際条約によっては通常は難民に分類されない、武力紛争、自然災害、経済失策の犠牲者のことを指しています。

この点に関して、JCAPはおそらく、別の地域からインスピレーションを得ることができるでしょう。ラテンアメリカとカリブ海地域のイエズス会移民ネットワーク(RJM-LAC)は、この地域の約83の機関を傘下に収めるグループです。2002年にいくつかの機関の緩やかな連携として始まり、その後様々な変化を繰り返しながら、2011年にRJM-LACとなりました。18か国から、JRS、社会センター、小教区、イエズス会の大学や学校などが集まっています。その中心課題は、中南米の様々な地域から北米に向かっている移民や難民と協力することです。この協働は、様々な種類の移民の間を厳密に区別することが必ずしも役に立たない、混ざり合った移民の流れがあるという現実を認識しています。

プログラムの面でも、アドボカシーに特別な注意を払う必要があります。移民労働者は使い捨て可能な労働力として、彼らの権利や尊厳はほとんど考慮されずに、必要な時にだけ雇われることは明らかです。2020年の東京オリンピックはまさにその典型です。日本政府は、より多くの外国人建設労働者が来るように法律を緩和していますが、社会的重大性に対処する用意ができていないか、対処する気がないようです。それに加えて、人権団体からは奴隷制に等しいと非難されている外国人技能実習制度もあります。

東南アジアに目を向けると、2015年にASEAN経済共同体が発足してもなお、家事労働や農園、建設業に数百万人の外国人労働者がいるということを認めるそぶりすらありません。加盟国は、2007年のASEAN宣言に伴い多くの部門から繰り返し呼びかけられたにもかかわらず、移民労働者とその家族を保護する手段に同意することができませんでした。その代わり、地域のグループは8つの部門に、いわゆるホワイトカラーの専門家に関する規定を設置しました。ネットワークは、各地で移民の権利のためのキャンペーンを開始し、経済的価値にのみ焦点を当てることなく、彼らの尊厳を促進するのに適しています。

一方、国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」は、政策変更を提唱するためのプラットフォームを提供しています。多国間のイニシアティブとして、国家間の対話のための国際的に認識できる話し方を提供しています。イニシアティブに掲げられている17の目標の多くは、移民労働者やその他の脆弱な移民に関するもので、出身国や在留資格にかかわらず、基本的サービスを含む社会的保護への権利を保障しています。経済成長に憑りつかれている中で、JCAP移民ネットワークを含む市民団体は、単なる経済開発だけでなく、人間中心の開発を強調すべきでしょう。

この計画は、アジア太平洋地域のイエズス会による、真剣な取り組みを必要とするでしょう。JCAPは、ネットワークの基盤を築くためのリソースを惜しみなく提供してきましたが、この計画を実現するためにはより多くのことを行わなければならず、より多くのリソースが必要となります。例えば、東京で行った今年の年次会議は、イエズス会日本管区の支援なしには実現できなかったでしょう。イエズス会にとって、このような寛大さは珍しいことではありませんが、現在の取り組みがより大きくなったときには、より一層歓迎されるでしょう。

シンポジウム

東京での会議は、ネットワークによる初の共同出版を記念したシンポジウムによって終了しました。『残された子どもたちと家族の概念』という本は、移民労働者の子どもたちの運命について、5か国でなされた研究の成果です。

その後、アジア太平洋地域における挑戦についての議論が続きました。主な挑戦は、現実には国境を越えた現象にどのように対処するかですが、私たちの働きの多くは現場で、あるいは性質によってもせいぜい全国のレベルです。ネットワークを構築することは、この限界を克服するための戦略です。それでもなお、能力と深い貢献を改善していく必要があります。東京での識別と計画は、今後数年間の新しい方向性を示すのにとても役立ちました。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中