日本の移民労働者(2)

安藤 勇 SJ、イエズス会社会司牧センタースタッフ、移民デスク担当

【社会司牧通信182号2015年4月15日】

71万7504人を記録した日本の外国人労働者
厚生労働省の発表によれば、日本の外国人労働者の数は2014年10月末時点で71万7504人に達し、前年と比べて5.1%上昇したとのことです。これは雇い主が外国人従業員について厚生労働省に報告しなければならなくなった2007年以来、最も高い数字です。厚生労働省によれば、この増加は雇用状況の改善、つまり景気回復と日本企業の成長によって、特別な技術を有する外国人が雇われるようになったことを反映しているのだといいます。
すべての外国人労働者のうち、27.3%は東京都で暮らしています。次いで、10.9%は愛知県で、5.9%は神奈川県で、5.3%は大阪府で、そして5.2%は静岡県で暮らしています。

日本の移民数は増加するでしょう
2014年3月14日(金)、菅義偉内閣官房長官は、長期的な経済成長に向けた日本の可能性を高めるために政府が移民の数を増やすことを考えているという報道に対し、決定事項ではないということを強調しつつも、それを否定しませんでした。
菅官房長官が指摘したように、安倍晋三首相のための重要な諮問機関である経済財政諮問会議の2月24日の小委員会の中で、政府はある試算を明らかにしました。それは、日本が毎年20万人の移民を受け入れるならば、人口1億人以上を維持することができ、国の出生動向の鍵となる指標である合計特殊出生率は現在の1.39から、2030年までには2.07に回復するというものでした。
日本の経済力を維持するために多くの移民を受け入れるかどうかは、長年にわたって政治的に微妙な問題でした。政権与党である自由民主党の保守的な議員の多くは、そうした考えに反対しています。

介護労働者の不足
公益財団法人介護労働安定センターが2013年度に行った調査によると、介護施設の20%以上が労働者不足に悩んでいます。労働者不足は、特に都市部で深刻です。
厚生労働省は、2012年度には149万人の介護労働者がいたと計算しています。しかし、2025年度にはさらに88~100万人の介護労働者を国が確保しなければならないと予測しています。これには、登録上は108万6千人いる介護福祉士のうち、実際にはわずか60%強しか働いていないということに留意する必要があります。

外国人労働者の状況・・・「技能実習」
外国人技能実習制度は1993年に、表向きは発展途上国の技術とノウハウを増やすための日本の「国際貢献」として始まりました。
この制度には二通りの方法があります。一つは、日本の大企業の支社によって直接雇われる方法です。もう一つのルートは、商工会議所や中小企業協会、あるいは協同組合といった「監理団体」によって採用される方法です。国際研修協力機構(JITCO)の関連機関によって、中小企業で研修をするのです。実習生のほとんどは、こちらの方法で日本に来ています。
2011年の末には、約14万2千人もの外国人実習生がこの制度に登録されました。そのうち中国から来た実習生は約10万7千人で、その他にはベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどからの実習生です。ピークだったのは2008年頃で、日本には約20万人の実習生が来ていました。
外国人実習生は彼らの母国に認可された760もの「送出し機関」によって日本に送られ、監理団体を通して雇い主に派遣されます。

Graph 3実習制度に関連する諸問題
実習制度が意図している目的は、発展途上国の援助だとされています。けれども実際には、この制度は日本企業が賃金の安い、単純労働者を確保するために用いられていると専門家は言います。
その他にも、雇い主が研修生のパスポートやキャッシュカードを没収したり、給料の一部を「貯金」として徴収したりすることによって、彼らが逃げ出さないようにしているという不当な扱いも指摘されています。
法務省のデータでは、法改正にもかかわらず過去2年間で実習生への不当な扱いが増加していることが示されています。
2012年には197の機関や企業で「不当な実習」に従事させていることが発覚しました。これは163だった2010年から、20.9%上昇しています。
不当な扱いは主に、賃金の未払いと労働法違反の形を取ります。例えば、ある実習生は月に100時間以上の残業を強制されていました。しかしながら、企業が受ける罰則は、最長で5年間外国人実習生の雇用が禁じられるというだけです。
国連の特別報告者(移民人権問題担当)であるホルヘ・ブスタマンテは、2010年3月23日、日本に公式視察に訪れました。彼は3月31日に記者会見を開いて、日本政府は外国人産業研修制度や技能実習制度を廃止するべきだと率直に勧告しました。こうした制度はともすると「奴隷制度」のようになり、人権を侵害する搾取的な低賃金労働への要求を煽るものとなるのだと言います。そして、この制度はれっきとした雇用の一つとみなされるべきだと提案しました。

労働条件と日本の外国人労働者の扱い
日本の外国人労働の状況は、労働契約と慣習的な仲介制度(外国人労働者に犠牲を強いる構造的枠組み)に大きく表れています。日本の状況や日本語の知識の不足は、海外から日本に働きに来る人々にとって、しばしば大きな障害となります。
全統一労働組合の書記長である鳥井一平は、次のように明言しました。「日本の外国人労働者は、賃金の未払い、労働災害、解雇といった、一般的な労働問題に直面していました。そして多くの場合それらに加えて、彼らのパスポートは取り上げられ、劣悪な状況の下で生活することを強制されています」。

日本の女性移民労働者
性産業は、その他のあらゆる産業が外国人労働者を求めるのと同じ理由で、彼ら(彼女たち)を歓迎します。彼ら(彼女たち)は低賃金で、あまり人のやりたがらない仕事でもやる意欲があるからだと門倉貴史(第一生命経済研究所エコノミスト)は言います。近年、日本の「エンターテイメント業」は2兆3700億円(2001年)という驚異的な規模を記録しています。
数多くいる女性労働者のグループの中でも、日本のフィリピン人労働者の大多数は若い女性です。かつて、2005年には約3万7235人の若いフィリピン人が日本で働く契約を結びました。重要なのは、日本人の家庭で「家事労働者」として働くための合法的なカテゴリーは存在しないということです。2006年9月に締結したEPA(経済連携協定)によれば、日本は多数のフィリピン人看護師と介護士を受け入れることに同意しました。現在、ベトナムとインドネシアも、同じくEPAに加盟しています。
日本人男性が外国人女性と結婚するという「国際結婚」は、日本では普通になりつつあります。彼らが離婚するということがしばしば起こりえますし、多くの場合、合法的な地位を得ることが結婚の主目的となります。日本人男性の側がかなり年上で、年の差は大抵、10歳や20歳もあります。移民労働者の子どもは、中学までの義務教育を受けるものの、しばしば家庭で多くの傷を負わなければならず、学校でも日本の普通の子どもよりもはるかにいじめを受けることが多いのです。
マスコミによれば、普通の日本人が外国人労働者に対して抱いているイメージはあまりよくありません。日本のメディアは外国人労働者の状況についてあまり報道せず、彼らの側に立ってはいないので、このことを客観的に調査することは困難です。一方で、日本にいる海外メディアの筆頭であるジャパンタイムズは例外的です。ジャパンタイムズは通常、外国人労働者の問題を、政府当局に対する批判的な態度で取り扱います。
日本のカトリック教会は、この分野では既に長い経験を有しています。教会は、福祉、法律、司牧、そして教育といった分野で、外国人労働者に対して様々な方法で関わってきました。実際、おそらく日本のカトリック人口の半分以上は、ブラジルやペルー、その他のラテンアメリカ諸国、あるいはフィリピンからの外国人労働者で構成されているでしょう。

外国人労働者のための試験的民間教育プロジェクト
日本は国内で働き、暮らしている何十万人もの外国人に対して、国家レベルで十分な日本語教育を提供しているとはいえません。そこには「移民政策」の欠如がはっきりと表れています。外国人労働者とその子どもたちは、きっと途方に暮れています。民間の日本語学校は数多くありますが、それらはどれも外国人労働者の家族の経済力に対してあまりにも高額なのです。

足立インターナショナル・アカデミー(AIA)は、外国人の両親の間に生まれた6歳から15歳の子どもたちに、基礎教育を提供する目的で始められた、民間の試験的非営利教育プロジェクトです。15の国から来た外国人労働者の多くは、東京のはずれにある足立区に暮らしています。
AIAはまた、大人の外国人労働者に対しても、日本語や日本の制度、文化についての知識を提供します。AIAは一対一という教育法に力点を置いています。教育によって、最も困窮している労働者の家族は確かな公教育を受けるための基礎的なツールを得ることができます。それと同様に、教育は大人たちに対しても、より良い仕事に就くことを可能にさせるのです。

AIAは、経験豊富な先生と、若いボランティアによって運営されています。2008年に、カトリックの4つの修道会は、この試験的なプロジェクトで青少年教育のために共に働くということを自らの使命としました。もしも皆さんがAIAを訪れたら、フィリピン人の母親がボランティアから日本語を教えられて漢字を学んでいる間、その隣では彼女の赤ん坊がベビーシッターの腕に抱かれて眠っているのを見るでしょう。あるいは、日曜日の昼前には、ガーナ人の父親が、他に3人の別の国から来た大人たちと、日本語の読み書きを学んでいるのを目にするでしょう。彼の3人の子どもたちは、午後に日本語や数学、英語の授業を受けるためにやってきます。教室では、ホワイトボードや黒板を使った授業は行われません。一対一の教育法に力点を置いているからです。個性を伸ばす教育、勉強が面白くなる教育、そして大人も子どもも親しく信頼できる雰囲気をつくる教育が目指されています。ブラジルの心理学者で教育学者であるパウロ・フレイレの考えによれば、生徒は先生となり、そして先生もまた、生徒たちから学ぶのです。AIAに来る子どもたちは、自由に、そして大きな声で、日本語を話します。子どもたちの日本語はおかしなアクセントですが、彼らは公立の学校では、教室で何時間も受け身的に授業を受けるのです。彼らは先生の言っていることが理解できなくても、義務教育を受けなければいけないのです。

この試験的な教育プログラムの重要な副産物は、青年ボランティアやシニア・ボランティアの参加です。AIAは、他者のために何かをするという可能性や人間の充足のための場を人々に提供するのです。

公的支援はなく、AIAのすべての費用(家賃、ボランティアの交通費、困窮している高校生のための奨学金など)は、支援団体や寄付者によってまかなわれます。

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《足立インターナショナル・アカデミー(AIA)》

〒123-0851 東京都足立区梅田5-11-17
Tel: 03-5888-5206 Fax: 03-5888-5216
http://www.aia-migrantschool.org
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足立インターナショナルアカデミー(AIA)は、足立区およびその周辺に住んでいるdoubleの子どもたちや外国人労働者の子どもたちあるいは不登校の子どもたちの教育ニーズ(特に日本語教育)に応じようとしています。同時に大人(外国人)の識字教育も行う。

《移民デスク》
移民デスクの窓口は、イエズス会社会司牧センター内にあります。
〒102-0083 東京都千代田区麹町6-5-1-4F
E-mail: migrantdesk.jsctokyo@gmail.com

JSC logo

https://migrantstokyojap.wordpress.com/
移民デスクは、外国人や難民に奉仕するため、主に無料の法律相談を行っています。

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