SAHABAT INSAN 人類の友(Friends of Humanity)

イグナチウス イスマルトノ SJ 【社会司牧通信166号2012年9月15日】

① 歴史を振り返る
私がインドネシアの司教協議会で働いていたとき(私は1995年-2004年にかけて異宗教間対話委員会の書記長であった)、インドネシアの37教区の多くの場所で起きている、紛争被害者たちの問題に多く出くわした。その頃から私は被害者たちに広く目を向けるようになった。紛争の被害者たちのことは関心事となり、注意を払うようになった。その頃、インドネシアの司教協議会は、危機と和解の奉仕というデスクを異宗教間事務局に開設した。このデスクの主な使命は、被害者と共にいることで、彼らが変わることができるようになり、生存し続けられるようになることであった。はじめの一歩は、被害者支援に関心を持っている、さまざまなNGOとのネットワークを築くことであった。2004年に、大きな津波がインドネシアを襲った。そこで私たちは現地に向かい、地元の若者や女性、とりわけ大学生たちと協力して、被害者の支援にあたった。

たくさんのボランティアが司教協議会事務局に来て、支援を組織化するために危機センターに加わってくれた。いくつかの外国の慈善組織が私たちに、アチェ州での支援活動の協力を求めてきた。アチェ州は主にイスラム教徒の地域なのだが、学生たちを通して私たちは被災者たちに受け入れられた。それは私たちの仕事が人道的なものであったからだ。

2004年以降は、外国の慈善団体がインドネシアへ殺到してきたことと、カリタス・インターナショナルの強い勧めで、司教はカリタス・インドネシアを設立するようになった。それ以来、インドネシアの司教たちは、カリタス・インドネシアに自然災害の際の活動を一任することにした。

② 人類の友
ボランティアたちは成長して一つの共同体となった。その法的な名前は”Sahabat Insan”、「人類の友(Friends of Humanity)」である。私たちは被害者たちを支援し続けていきたい。自然災害の被害者たちは、既にカリタス・インドネシアに助けられているので、私たちは関心を、人災(man-made disasters)の被害者である出稼ぎ労働者に移行した。彼らの数は莫大であり、彼らを支援する団体もまた多い。私たちはデータ収集からははじめなかった。また私たちは、訴訟はおろか弁護のためにも働かない。

私たちは被害者たちと接触を続ける中で、さらに一つの必要性があることを発見した。出稼ぎに失敗して、インドネシアに帰らなければならない労働者がいる。彼らの状況は非常に深刻だ。彼らは助けを本当に必要としている。もし彼らに助けがなければ、彼らの基本的権利は失われてしまうだろう。彼らは帰国するときには、彼らとともにいる友人もなく、インドネシアに戻ってくる。

③ 出稼ぎ労働者の支援
問題はとても大きく、私たちの力はとても小さい。”Peduli Buruh Migrants”という、出稼ぎ労働者を支援する一つの団体がある。そのリーダーは、かつて出稼ぎ労働者であった女性である。私たちはそこと協力することにより、助けを必要としている人々の支援にあたっている。 Lilyさんは私たちが運営する避難所の世話をしてくれていて、私たちは彼女に特に財政面での支援をしている。

④ 緊急な支援を必要とする人びと
ジャカルタのANTARA News紙で、出稼ぎ労働者について、次のような報告を読んだことがあるかもしれない。政府関係者によると、少なくとも101人のインドネシア人出稼ぎ労働者(その内の29人が看護師、72人が介護士)が、2012年5月17日(木)に日本に送られる。そして日本はすぐに迎え入れる。駐インドネシア日本国大使・鹿取克章氏は、ジャカルタで水曜日に次のように述べた。「彼らは、国際交流基金の6か月間の日本語研修を終えて、明日、日本に送られる」。

彼は、インドネシア人出稼ぎ労働者の受け入れプログラム下で、労働者が日本に送られるようになって5年になる、と付け加えた。そして「我々は、彼らが先輩たちと同じように、一生懸命に仕事をしてくれることを望みます」、と所見を述べた。「このプログラムは2008年にはじまり、当時は合計288人のインドネシア人出稼ぎ労働者が日本に送られた。現在に至るまでに、791人の出稼ぎ労働者が、このプログラムをのもとで日本に行った。日本は彼らの仕事ぶりに非常に満足している。我々はこのプログラムにおける、人と人との繋がりを強くしていくことを望む」。人材の交換と保護の機関(Manpower Replacement and Protection Agency)の推進部長であるEndang Sulistyaningsih氏によると、インドネシア人出稼ぎ労働者は、彼らのしっかりとした労働観、規律正しさ、勤勉さなどで有名であり、同様にその他の特徴、決して投げ出さない、貯蓄する、質問することを恥としない、などでも有名である、という。「心配しないで。私たちはあなたたちを独りにしない。時々はあなたたちに会いにいきます」と、Endang氏は付け加えた。24歳になるインドネシア人出稼ぎ労働者Indah Gita Safiraさんは、日本の老人ホームの介護士として働くことを目指している。彼女は日本で4年間働く雇用契約書に署名している。彼女が月給として受け取ることになる額は約17,450円(?)である。「日本で介護士としてベストを尽くします」と、彼女は約束した。

しかし、別の記事を見たことがあるかもしれない。「インドネシアは出稼ぎ労働者殺害に関して、マレーシア大使を呼び出す」(Jakarta Globe Ismira Lutfia,Ezra Sihite & Fitri,April24, 2012)「マレーシアで撃たれて亡くなった出稼ぎ労働者の親族が、西Nusa Tenggara警察に対して、月曜日、訴えを申し立てた。火曜日、インドネシアはマレーシア大使を呼び出し、説明を求めた。つまり、なぜ3人の出稼ぎ労働者が、マレーシア警察に撃たれ殺されたのかということ、そして亡くなった労働者の臓器が採取されたという不確かな記事の真偽について、説明を求めた。海外にいるインドネシア人を保護するために、私たちは彼らにできる限り早く来てもらって、明確な説明をしてほしい、とTatang Razak外務省長官は述べている。彼はまた、政府は亡くなった3人から臓器が採取されたということの真偽を確かめるため、検死を行う方向で、ロンバクの警察と連携している、とも言っている。インドネシア政府は現在、マレーシアに対して検死結果と亡くなった労働者の死に至る経緯を公表するよう要求している。Tatang氏は月曜日に、亡くなった3人がマレーシア警察に撃たれたとき、彼らが犯罪活動に加担していたと、マレーシア政府から報告があったと述べている。

私たちは、その労働者たちが本当に犯罪に関与していたのかどうかの真相を明らかにしたい。もし彼らが潔白なら、誰かが責任をとらなければならない、と彼は言っている。外務大臣のMarty Natalegawa氏は、被害者に起こったことを確定するための透明性の欠如が問題なのだ、と考えを述べた。被害者の親族が別の検死にかけることを望むなら、政府はそれを手助けする。親族が望むことならどんなことでも手助けする。なぜならこれは私たち自身の問題でもあるのだから、と述べている。3人の遺体(Abdul Kadir Jaelani 24才、Herman 28才、Mad Noor 33才)は、今月初旬に東トンブクにある彼らの故郷に帰ってきた。彼らは射殺され、3月30日マレーシアで、遺体で見つかった。被害者の親族2人が遺体の状態を見て、臓器が採取されていたというのは本当だと思うと言った時、彼らの殺害の動機に対する疑惑が生まれたのである。

Rieke Dyah Pitaloka氏は、野党でIndonesian Democratic Party of Struggle(PDI-P)の議員であるが、3人が臓器密売人たちの犠牲となったのかどうかを確定するためには独自の検死が必要だと述べた。検死の責任は出稼ぎ労働者斡旋局であるPJTKIだけに背負わせるわけにはいかない。政府は進んで事態の掌握に努めるべきであり、マレーシア政府と協力してことを進める必要がある。これは単にPJTKIだけの責任ではないのだ、とRieke氏は語った。外務問題を監督しているTubagus Hasanuddin氏(PDI-P議員で第一代表議会副議長)は、それらの死が臓器密売組織と関係しうるということであり、さらに踏み込んで調べていくべきだと述べている。これは著しい人権侵害であり、政府は調査しなければならない、と語っている。

その一方で、西Nusa Tenggara警察は、殺害された労働者の親族に、訴える前に、クアラルンプールのインドネシア大使からの書簡を待つように伝えている。その書簡にはその3人の死の詳細なことの次第が提供されているだろうというのである。西Nusa Tenggara警察の代弁者Lalu Wirajaya氏は、次のように述べている。「私たちは彼らの訴えを拒否しない。しかし私たちは、その親族とBP3TKI、そして出稼ぎ労働者の斡旋と保護の機関(the Migrant Worker Placement and Protection Agency)には、まずはマレーシアのインドネシア大使からの書簡を待つようにと助言している」。親族の誰も事件を目撃していない。彼らはただ聞いただけだ。

私たち、「人類の友」は、出稼ぎ労働者を支援する団体として主張しない。私たちの主な関心事は前者の話ではなく、私たちが優先すべきは後者の話である。つまり出稼ぎ労働者が被害者になっていることである。私たちがひとえに優先するのは、カトリック教会とイエズス会の関心事と同じ、「貧しい人々を優先する選択」である。そして近年、緊急な支援を必要とする人びととは、失敗した出稼ぎ労働者のことである。彼らは排除され、手ぶらで帰ってきて、死んでしまうことさえある。しかし私たちは微力なので、同じことに関心をもっている人びとと協力してやっていかなければならない。

SAHABAT INSAN(人類の友)
Web:http://sahabatinsan.multiply.com
(Jakarta)

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