神は世界を造られた。そして言われた、「それは極めて良かった」

キム・ヒョンウク(イエズス会神学生) 【社会司牧通信165号2012年6月15日】

3月9日、韓国イエズス会員キム チョンウク神父が警察に逮捕され、一か月間拘置された。彼の罪は、済州島における政府の所有地の破壊ということだった。彼は公然と、済州島に海軍基地を建設するという政府の計画を妨害したのであった。

彼は海軍基地建設工事の周りに立ててあったフェンスを突破し、不法にもその敷地内に立ち入ったのである。彼は4月10日に釈放され、現在も済州島に対する政府の環境破壊に抵抗して抗議している。

済州島は朝鮮半島の南に位置する。世界でもっとも美しい島の1つで、原始のままの自然と火山島であることで有名である。そこにはおよそ28万人の居住者がおり、彼らは政府当局による不当な開発プロジェクトから自分たちの村を守るために闘っているのである。それは現代のダビデとゴリアトの物語のように思われる。

企てられた海軍基地は、火山の溶岩の流れが海へと入ってゆく位置に建設中である、そこはグロンビ岩で有名な1マイル程の地帯だ。この美しい岩石海岸は村人たちに神聖視されており、ユネスコから世界自然遺産として認定されている。水源から自然の真水が表面を貫いて湧き出ており、柔らかいサンゴ礁が海岸から少し離れたところに横たわっている。そこはまた絶滅の危機に瀕しているインド太平洋海域のパンドゥイルカの唯一のすみかでもあるのだ。

2007年、韓国政府はこの村に海軍基地を建設すると発表した。しかしこのプロジェクトには多くの問題があり法的手続きにも従っていなかった。実際にはガンジョ村の村民およそ94%はこの新軍事基地計画に反対していた。多くの熱心な環境保護主義者もまた基地の建設に反対した。なぜならそれは自然環境を破壊してしまうからだ。韓国の最南端に位置する済州島には、「平和と安全計画」のための軍事基地は必要ないのだ。韓国政府はアジア太平洋地域の平和を維持するためには新海軍基地が必要であると公然と言っている。環境保護主義者はしかし、海軍基地が済州島に建設された場合、中国との間に緊張が起こるだろうと主張している。実際に中国も、新海軍基地建設は北東アジア地域に緊張を創りだしているとして、この計画に対し強く反対している。率直に言うと、この海軍基地は韓国の必要というよりも米国の必要をかなえることを目的としているのである。それが済州島に海軍基地が必要と言われる本当の理由である。

社会問題にかかわっているイエズス会員ジョン・ディアー神父によれば、「米国が関与する限り、基地のただ一つの意図は、中国、日本、そして台湾といった近隣諸国に対する戦略的な位置にある。米国はイージス艦や、巡航ミサイルを運んでくる原子力空母のために、そこへ主要な海軍基地を建設するように韓国に求めているのだ。これらのミサイルは、目論まれている済州島の海軍基地において米国の駆逐艦や潜水艦で保持されることで、いつの日か、中国の大陸間弾道ミサイル(ICBMs)を破壊するために使用される可能性がある。

ディアー神父は続けて言う、「韓国政府の意図は、米国のイージス艦や原子力空母が停泊できるようにガンジョ村に巨大な海軍基地を建設することだ。こうして次のことは明白となる、韓国政府の新基地は、中国に対して、米国に直接軍事的行動の可能性を与えるものであり、それは必要であれば核兵器の使用も伴ったものなのだ。それによって韓国は米国とその中国を包囲しようという帝国主義的な戦略のための手先として利用し続けられるのである。その見返りに、米国は韓国を防衛し続けるだろう。」
5年前、済州島教区長で、韓国司教協議会会長である、カン・ウイル司教は、ガンジョ村の人々の援助をするようにすべての司祭とシスターに緊急の呼びかけを発した。何千人という司祭とシスターが関わるようになった。ある日、20人のシスターが逮捕された。

別の抗議には、韓国の司祭4000人の内3400人が加わった。何人かの司祭は一度に何か月も済州島の建設現場の岩盤の上に居座った。また他の者は建設の準備を妨げたとして逮捕された。そして他の者は、抵抗のための一つの行為として、ならびに神聖な場所としての岩石海岸に対する数世紀にもわたる尊敬を続けるための一つの方法として、その海岸の上でミサをとりおこなったのである。毎日彼らは村人たちとともに、はっきりと反対の旨を述べ、座り込みをし、断食をし、祈り、そして、この神聖なる海の景観を破壊するのを止めるために、敢えて非暴力に伴う危険を負っているのである。

最後に、わたしは、韓国管区のイエズス会について少し述べておきたい。実際、イエズス会はすべての反対するグループの中で最も強いものの一つである。何人かのイエズス会員は既に済州島の村で生活をはじめている。何人かの司祭と修道士たちは警察によって何度も逮捕されている。最近まで、ある司祭は一か月間拘置所にとらわれたままだった。そしてまたある司祭は有罪判決を受け、2年間の懲役に処せられた。ある修道士は今月末に法廷での判決が出るのを待っている。更に、韓国管区のイエズス会は、管区長自身も含め、村人たちへの援助を続けている。例えば、イエズス会センターでは、ガンジョ村の平和のために週に一度ミサをおこなっている。そして多くの韓国のイエズス会員の学者たちは、この問題についての研究を行い、反対運動についての報告書を作成した。何人かのイエズス会員は済州島を個人的に訪れている。ジョン・ディアー神父の言葉を引用すると、「わたしたちは今のような団結を一度も体験したことがなかった。このように広く行き渡った、確固とした、組織化された、そして覚悟した、非暴力的抵抗をかつて見たことがない。このように多くの司祭やシスターが平和や軍備縮小のために積極的に参加したということは感銘深いことである。わたしの人生の中で、済州島で見たような一つの運動へのこのレベルでの参加と献身を目の当たりにしたことは一度もなかった」と。

韓国の管区長であるシン・ウオンシク神父はミサの中で次のように説教された。「わたしたちは貧しい人、苦しんでいる人、虐げられている人とともに生きるとき、わたし達は、主イエスキリストに似るようになる。それがこの国でのわれわれイエズス会の使命をはたすことになるのです。」彼はこの活動に参加するよう韓国の全てのイエズス会員を激励したのだ。

最近、ニコラス総会長もまた、環境、平和、正義、そして連帯などに関するイエズス会の活動を激励する感動的な書簡を韓国管区に送った。イエズス会は伝統的に、情熱をもってひとつの炎を他の人の心にも燃え上がらせるようにしてきた。これが今回のような活動を、韓国を超えて広げてゆかなければならない重要な根拠なのである。こうした活動はすべてわれわれイエズス会の精神を示しているのである。なぜなら我々の目的は、「すべてにおいて神を見出す」ということなのだから。その精神は、総会長が遥かかなたから、済州島の韓国イエズス会員の活動を支持する理由なのである。

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